「Myunsic Re/cordsが選ぶ、2018年の年間ベスト・アルバムTOP25」第10位!
2719年生まれ(笑)。直近は女優としての活動が活発だった Janelle Monae 、5年ぶりとなる待望の3枚目のアルバムは、モノクロームなタキシードを脱ぎ捨て、カラフルな「人間宣言」作に!
2017年は「ムーンライト」、「ドリームス」といった映画の出演で、映画ファンには「女優」として知られるようにもなった彼女ですが、、今作での音楽家としての仕事、本当に素晴らしいものでした(泣)。
Janelle Monae とは
2719年生まれの彼女なんですが、もろもろの経緯に巻き込まれまして(笑)、現在、21世紀に存在しています(笑)。
28世紀には彼女のDNAを受け継いだシンディ・メイウェザーという名のアンドロイドがおりまして、、人間に恋をして組織から逃げ出した彼女が、専制的な体制組織からメトロポリスの人々を解放に導いて行く、、というのが、デビューEPの「Metropolis」から、ファースト・アルバム「ArchAndroid」、前作「Electric Lady」まで『Metropolis』というシリーズで描かれてきた、壮大なSFストーリーです。
(一昔前だったら、プログレで語られていたようなラインですよね。まあ、アフロ・アメリカンの女性が、このストーリーを語ることによって出てくる文化的、政治的な意味合いは、とても重いものになる訳ですが。)
古典SF好きの私としては、デビュー時から聴いてましたわね、そこは(笑)。
もちろん、P-Funk、デトロイト・テクノから綿々と続く「ギャラクティック・ソウル」((C) 野田努)の最新の成果とも言える作品群ということになるでしょう。
ライフ・ワーク 「Metropolis」サーガ、始動
さて、この方、生まれはアメリカのカンザス州で、最初は演劇界での活動を目指していました。
2001年にアトランタに移った際に、Outkast の Big Boi と出会ったところから音楽活動を始めています。
2003年に400枚しかプレスされなかったという「The Audition」という作品の時点で、すでに「Metropolis」のアイデアが盛り込まれていたそうなので、このSFストーリーの実現は、本当にライフ・ワークということになるのでしょう。
2008年に本格的にそのテーマに取り組んだ「Metropolis: The Chase Suite」を発表。
その中に収録の「Many Moon」がヒット!私は、ここから聴き始めた感じですね。
この時点で、60年代感漂う未来(笑)、アンドロイド、タキシード、リーゼント(地毛!笑)など、彼女のイメージとなるアイコンが、すでに出揃ってますね。
この後、セカンド・アルバムまでの3作において、こういったイメージを使いながら、一貫した「Metropolis サーガ」の世界を描いていきます。
外部への feat 仕事も多数。様々なジャンルの楽曲に参加もしてますね。
一番のビッグ・ヒットはこれでしょう。
過去作、いい曲ばっかりで好きな曲だらけで、1つ1つ紹介してたらキリがないんで(泣)、、SFテーマの映像も面白いですし、どれも見てるだけでも楽しいので、お好きな方は各自当たってくださいませ(笑)。
*彼女の Youtube のチャンネル、貼っときます。
「Dirty Computer」のサウンド
その後、女優業も忙しく、3枚目のアルバムは、5年ぶりと大変に待たされた訳ですが、今作は「Metropolis サーガ」からはじめて外れる、とのことで、まず、まじか?!ってなりましたね(笑)。
で、この先の各楽曲のご紹介をするのにも、、もし、お時間がありましたら、こちらの映像作品を見ていただく。
48分もあるんで、長いんですけど、、(泣)、今作をちょっとした短編映画のようにしてまとめている映像作品でして、、SF的な想像力をお持ちの方でしたら言葉が分かんなくても、十分ストーリーは伝わると思います。で、本作の音楽が楽しめる作品です!
まあ、最高っすよね(笑)。
見た目のイメージもタキシードを捨てて華やかに。
サウンドも 60年代から80年代マナー中心へ大きくシフトしてきました。(これまでも 80年代感のあるトラックは全然ありましたけど、ここまで多くはなかったですからね。)
これまでは、問われても「私が付き合うのはアンドロイドだけ」といった決まり文句で言及を避けていた人だったんだけど、、今作発表後に、自身がクィア、パンセクシュアル(全性愛)であることを表明しました。
「アンドロイド」という言い方で見せていなかった(タキシード姿で、むしろマニッシュでカッコいい!っていう感じでしたからね)「自身の本質」、、この場合はセクシュアリティの話な訳ですが、、が、解放された、、いうことなのでしょう。
(上に紹介した、5年前の「Q.U.E.E.N.」という曲も、オリジナルのタイトルは「Q.U.E.E.R.」(クィア)だったと語っています。)
「自己の受容と解放」
今回のアルバム全体としても、セックスやセクシャリティーについて、その自由、が、テーマとして、全面的に押し出されることになりました。
12位の Sophieとも通じるところですね。
「自己の受容と解放」をテーマとしている、と言うべき素晴らしい作品が、本当に相次いでいます。
ここまでの「TOP 25」を読んで下さってる方には、もう十分お分かりの通りでしょうが(笑)、このテーマに、私は、本当にヤラれている訳です(笑)。
彼女の場合は「アンドロイド」という仮の姿を脱ぎ捨てて(タキシードとともに)、一人の性的な「人間」であることの「宣言」として、本作ができたのであろう。と。
これまで「アンドロイド」という方法を使って、いわば「迂回的に」表現を避けてきた、自身の本質を全面的に解放して、、同胞への連帯と友愛を呼びかけている、、と。
12位の Sophie、11位の The 1975のところで、こういったテーマに対する、私の反応と心持ちについて、たくさん書いてきたので(笑)、もう、ここでは繰り返しませんが(笑)、、人として普遍的に重要なことであり、私自身、一番心の中心にあるテーマですね。 ただただ最高です。リスペクトしかない。
「Dirty Computer」まとめ
ともかく、上の「エモーション・ピクチャー」、観てみてください(笑)。普通に面白いんで。
テーマがしっかりありつつ、エンターテイメントとしての表現になっている。というところの素晴らしさ。ってことですよねー。
最後に「Rolling Stone」誌でのインタビューでの、彼女の素晴らしいコメントを引用しておきます。
「自分のセクシュアリティに対したり、ユニークな自分であることで、いじめられていて、苦労している若い女の子、男の子、ノン・バイナリィ(←男性にも女性にも、セクシュアリティを定めてないこと)、ゲイ、ストレート、クィアの人たちに、、私が「分かるよ」って思ってるって知ってほしい。」
「このアルバムはあなたのためのものです。 誇りを持って。」
涙。
、、ちなみにですねー、、一個前の The 1975 くらいから、気持ち的には、もう全部「1位」でいいです(笑)。、、これ、10位にしてるけど1位です!(爆)一個一個全部味が違う素晴らしい作品なんだもん。ラーメンとカレーに順位なんてつけられないよ(←例えが昭和(笑))。
と、いうような気持ちになっちゃったんで、「TOP5」とか「TOP10」っていう企画にできなかったのよね、今回(泣)。10個じゃ全然間に合わない、、。
そもそも今まで紹介してきた作品に触れなかったら、私から見た「2018年」の話にできなくて、それはそれで困るし、、(泣)。で、25個、っていうキリの悪いとこまでギリギリ引き伸ばさせてもらったんですけどね、、。
なんで、こっから先は全部「1位」です!(爆)あ、The 1975 も1位でいいよ、もう(笑)。、、とか言っちゃダメか(笑)。
この先も、がんばって順位もつけつつ、書きまーす!(笑)。
*第11位はこちら!