「DJの基礎・第3回」では、楽曲と楽曲をミックスする際、BPMを合わせる(ビート・マッチングする)ことで、2つのトラックを切れ目を感じさせること無くスムーズに「つなぐ」ことが、DJ を行う上での基礎的なテクニックとなることを見てきました。(*注 「第3回」まだ書いてませんー(笑)。事情は以下! そのうち書きます!(笑))
と、同時に、2つの楽曲をミックスする際に、気をつけなくてはいけないポイントは、まだまだある訳ですが、、今回は、rekordbox が「5.4.3」 にアップデートしたことで、「キーの表示方法」が2種類から選べるようになった!という件を受けて、楽曲同士のキー(調性)もマッチさせることで、2つの曲がハーモニーとしても協和し、心地よくミックスできる「ハーモニック・ミキシング」の手法について、ご紹介しようと思います。
(すいません「DJの基礎」第3回で「ビート・マッチング」について取り上げようと思っているのですが、、rekordbox 5.4.3 のアップデートのタイミングで、「ハーモニック・ミキシング」の件、取り上げるのがちょうどいいので(笑)、ちょっと執筆順、逆っております(笑)。そこんとこ、よろしくお願いいたします!!(笑))
ハーモニック・ミキシング とは
上にも書きましたとおり、「ハーモニック・ミキシング」とは、「トラックのキー(調性)を協和的に(心地よく)響くようにつなぐミックス方法」です。
BPM(テンポ)を「ビート・マッチング」で合わせるのと同時に、キー(調性)も合わせる、もう一歩高度な手法になります。
とは言え、PCDJのソフトでは、キーも自動解析できてしまいますので、昔のように、すべて耳で判断した上で調性も合わせる、、といったスキルは不要です。
以下に紹介します、五度圏表を念頭に置きつつ、かつ「Alpanumeric」でキーを表示させると、思いのほか、簡単にできてしまいます!
「五度圏表」と「Alphanumeric」表示
キーの関係性を観ながらミックスする際の考え方として、下の図の様な円がよく出てきますが、このキー・チャートを五度圏表、Circle of Fifth、Camelot Wheel などと言います。
外側にメジャー・キー、内側にマイナー・キーが配置されていまして、楽曲のコードの進行や、音と音の関係をぱっと見で把握するために、楽器演奏をする方が多く利用しているツールかと思います。
このツールを使うことによって、楽器の演奏だけでなく、コードの進行も加味したDJ MIXもやりすくなる訳ですが、、rekordbox 5.4.3 へのアップデートによって、この図にあるような、キーを「1A」「1B」といった表示方法にすることができる「Alphanumeric」表示が使えるようになり、rekordbox の画面上で、より簡単に、この手法が使えるようになりました!!
「ハーモニック・ミキシング」の 具体的な考え方例
例として分かりやすく、左下にある C Major(8B)を中心に見てみましょう。(私が鍵盤出身者とバレるチョイスですが(笑)。←全部、白鍵(笑)。)
時計回りに見た場合、ひとつ先の方向の隣が G Major(9B)、ひとつ前の方向の隣が F Major(7B)になってますね。
この表では、中心の C Major(トニック・主音・根音) に対し、G Majorはドミナント(属音)、F Majorはサブ・ドミナント(下属音)という関係になりまして、お互いに関係性の深い(気持ちよく響く)関係のキー(調性)になっているのです。
また、C Major(8B)の内側には A Minor(8A)があります。
C Major と A Minorは「レラティブ・キー」(平行調)という関係で、これもまた、別の関係性において、やはり気持ちよく響く関係のキーです。
このように、トニックを中心にしてドミナント進行(5度進行)となるキーが先隣に、サブ・ドミナント(4度進行)進行となるキーが前隣に並んでおり、レラティブなキー(平行調)が同軸に並んでいるのが、五度圏表(Circle of Fifth)という上の表なんですね。
、、というような細かい話は置いておいても(笑)、「隣りのキーは相性がよく、気持ちよく響く」ということが分かっていれば、DJ ミックスをする分には十分!という便利さが、この表のすごいところ!!(笑)
今かけているトラックの隣にあるキーの曲をつなげば、ドミナント進行やサブ・ドミナント進行に。同軸にあるキーの曲をつなげば、平行調として心地よくつながる。、、というのが、ポイントです!
この考え方でミックスを進めるのが「ハーモニック・ミキシング」という手法、なんですね。
で、ですよ(笑)、今回のアップデートで出てきた「Alphanumeric」の表示でキーを見ますと、C Major(「8B」)の隣は「7B」「9B」、同軸には「8A」が並ぶことになりまして、、単にアルファベットの「A」か「B」、「数字の前後」が一致しているかどうか?を見るだけで、「ハーモニック・ミキシング」が簡単にできてしまう!ということなんですねー。さらに便利!!
(Eフラット・マイナーのドミナントってなんだっけ?とか、悩む必要もなく、、今が「2A」だから、一個先の「3A」、一個前の「1A」、あと「2B」も気持ちよくつながる!ってだけ覚えればOKな訳です!楽!!)
「Alphanumeric」の表示、便利!!
この手法でキーが心地よく、、あとはジャンルや登場している楽器の鳴り、音色、、BPMの一致、曲の展開などを加味すれば、思いっきりぴったりの1曲!が、見つけやすくなりますねー!!
rekordbox DJ での「キー表示形式」変更の方法
「環境設定」画面の呼び出し
やり方は2つ。
a. メニューバーの「rekordbox」>「環境設定」を選択
b. 画面右上の「歯車マーク」をクリック
どちらでも同じ画面が表示されます。
「表示」→「キー表示形式」から選択
「表示」の中ほどに「キー表示形式」の欄があります。
ここで、「Classic」か「Alphanumeric」かを選択できます。
キーを意識したミキシングの注意点
もちろん、キーやコードの進行の仕方は、ここに書いてきた基本的なもの以外にも多様なものがあります。
rekordbox では、トラックのキー解析も自動ですし、、5度、4度進行以外のコード進行を活かしての心地よいミックス、他にもたくさんの可能性を追求することができます!(まあ、rekordbox のキー解析の精度も100%では無い点には注意も必要!ですが。)
キーの表示を参考にしながらも、最終はミックスするDJの耳での心地よさ判断が勝負なのは、もちろんですよね。
自分に合った(分かりやすい)便利なキー表示を活用して、気持ちのいいミックスを見つけてみましょう!!
まとめ
「Alphanumeric」表示でキーを見た際は、
- 「隣り合った数字(1つ前の数でも、1つ後の数でも)」のキーの楽曲は、心地よくつながる(可能性が高い)
- 「数字が同じでA←→B」とABを変化させたキーの楽曲は、心地よくつながる(可能性が高い)
「五度圏表」を活用する!
これで、BPMに加えて、ハーモニーも調和した、心地良いミックスとが可能に!!